一般個人間の直接売買はおすすめしません。

当協会の副理事長を仰せつかっております井上章と申します。
今回は市街化調整区域内の土地建物に係る案件について寄稿致します。
市街化調整区域の土地建物について、隣地の方が自分の保有する土地建物を購入したいと申し入れがあるので、取引の安全のため売買の仲介を取り持って欲しいという相談がありました。
隣地の方は、この土地に新しく小さな別宅を建てたいという考えでした。
早速、この土地建物所有者を交えて隣地の方と面談、売買金額も折り合い買主の資金もクリアになり、売主買主両者の考えは合致しました。
ところが...
市街化調整区域と言え、家が建っていること、地目も宅地であることから、一見再建築については問題ないであろうと思われましたが、正にこの部分について、この土地における建築当時の建築許可について不審な点があることがわかりました。
建物が建ったのは都市計画の変更による所謂「線引き」の決定があった昭和45年6月から相当期間を経過した昭和50年であること、
地目が宅地となったのもその時期であること、
更に線引き以前に建物が建っていなかった(既得権はない)こともわかり、
当時どのような経緯や要件を以って建築許可が為されたのか、且つ第三者による再建築が可能なのかどうか、市役所の担当部署にこの建物の許可を含め今後の建築許可についての審査をしてもらうことになりました。
その回答が...
四週間後(結構な期間と思います)に下記のような回答がありました。
本件建物の建築許可は、「開発審査会提案基準」の「提案基準13.既得権を有するもの」に該当する。
昭和45年6月に線引きされた時、県外に居住して当該都市計画決定を知り得なかった者に対する既得権の救済措置であった。
また、本件救済措置は自己の所有する住宅を持たない者が対象である。
今後の建築許可(再建築)は可能、但し対象者は自己所有住宅を持たない者である。
当時、建築主であった先代の方は県外の社宅に住んでいたことも後でわかりました。
本件許可は、上記の要件による建築許可であったという回答です。
結果は『然に非ず(さにあらず)』
要は市街化調整区域内の一般的な建築許可ではなく線引き後の救済措置を前提にした許可であったということになります。
それでも、
今後の再建築は可能だ、良かった・・・ということは言えるのでしょうが、
今回は「然に非ず」です。
何故なら、
隣地の方は既に居住用の建物を所有している、
この土地に別宅を建てることが目的、
この救済措置の建築許可は自己の所有する住宅を持たない者が対象であるため、
隣地の方に建築許可は下りないということだからです。
では、この土地は...
本件土地は、当時の建築許可から将来に亘って、この救済措置による条件を抱えていくことになります。
一般的には稀なケースで、この案件自体特別なのであまり参考にはならないかも知れません。
この案件は、
都市計画法に付帯した膨大な量の「都市計画法に基づく開発許可関係事務の手引きについて」の書中第3章の5「開発審査会提案基準」の中から市役所の担当者が該当するものを説明してくれたものの、それを読み込んで理解するに至るまで相当の時間が掛かりました。
役所の担当者でさえ、該当条文を探り当てるのに時間を要したとのことです。
売主買主に説明してご理解頂きましたが、取引の安全を期待して声を掛けてくれた売主
そして買主は売買という目的を達成できなかったことに違いはありません。
それでも、当然と思うかも知れませんが、この救済条件付きの建築許可であることを知らずに
売主買主両者が直に契約してしまったらトラブルとなっていたことでしょう。
売買の仲介をする責任において宅地建物取引業者としての私も然りです。
宅地建物取引業者・不動産コンサルティングマスターの必要性
不動産売買には必ずしも同じパターン、ケースがある訳ではなく、その都度紐を解いていくような地道な作業が必要です。
その作業が必要であるからこそ不動産コンサルティングがあるのだと考えます。
我々不動産コンサルティングマスターにとっては当然のことと認識していることなのでしょうが、
一般消費者の方々におかれても、不動産コンサルティングの主旨とその重要性を理解して頂けましたら大変嬉しく思います。
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執筆者:井上 章 有限会社ランドアルファ |















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